渡辺さん:このイベントは、マージマンションとして初のブランドコラボレーションおよびリアルコミュニティイベントでした。日本で有名なアップルパイ店「グラニースミス」とコラボレーションし、マージマンション4周年と敬老の日に合わせて特別なイベントを実施。特製のパイやドリンクを楽しみながら、既存プレイヤーはもちろん、通りすがりの方にもゲームをダウンロードしてもらうことで無料のパイを提供し、大盛況を収めました。
山下さん:今回のプロジェクトメンバーは、もともとマージマンションの熱心なファンが多く、この「世界観」を忠実に再現することにも力を入れました。例えば、コラボドリンクの中の1つにはゲーム内に登場するダイヤを模したゼリーを使ったり、パッケージのロゴでは「×」の部分に、ゲーム内アイテムのナイフのデザインを取り入れたりするなど、「知っている人には分かる」工夫を盛り込みました。
社内外ともにチームで話し合いを重ね、より工夫を凝らすため、週1回のミーティングを4か月に渡って行い、密にコミュニケーションを取りながら進めました。
企画にあたっては、フィンランドと東京の距離があるため、リモートで進める必要があり、ロケーションの下見なども難しい状況でした。また、限られた予算の中でどのようにコミュニティに焦点を当てた企画にするかを考えました。単なる賑やかしで終わるのではなく、確実にプレイヤー獲得にもつながるイベントにしたいという目標を掲げ、着手しました。
小知和さん:Metacore様とは2022年10月からお取引を開始し、すでに2年間の協力関係を築かせていただいております。特に、CARTAの強みであるデジタル広告を中心に、多くの広告やクリエイティブを展開してきました。もともとマージマンションのファンであるメンバーが多かったので、ファンの視点からも「これを試したい」などの提案を積極的に行ってきました。
今年の初めからは、デジタル領域を超えた提案を行い、OOH(屋外広告)やコラボ商品の開発なども視野に入れました。そのような提案を重ねる中で、Metacore様からオフラインイベント実施のリクエストをいただき、プロジェクトがスタートしました。そして、開催の半年前に、グラニースミス様とのコラボイベントを実施することが決定し、そこからは、良い意味で忙しい日々が始まりました。
渡辺さん:最初の大きな課題は、グラニースミス様との交渉でした。ゲーム関連のコラボでは、他のゲームやアニメとのパートナーシップはよくありますが、異業種とのコラボはあまり事例がありません。いきなりグラニースミス様にコンタクトしても理解を得るのは難しかったため、いかに相互にメリットがある企画なのか納得していただけるようお伝えすることが最初のハードルでした。CARTA MARKETING FIRM様にも交渉に加わっていただき、実務面で彼らがサポートしてくれることを強調しました。
キックオフでは、イベント会社も含めた4社で集まり、実行プロセスを合意しましたが、弊社はフィンランドがベースとなるため、それ以降は一堂に会することが難しくなりました。リアルイベントは決めることが多く、オンラインでのコミュニケーションを通じてそれを段階的に解決していく必要がありました。
ーオンラインでのコミュニケーションの難しさはどこにありますか?
ー限られた時間の中でどのように対応したのですか?
山下さん:私は、日本の文化やニュアンスを海外のお客様にどう伝えるかが難しかったです。例えば、「おもてなし」という言葉をどのように説明すれば伝わるのかなど、英語での表現方法にこだわりました。Metacore様のプロジェクトマネージャーはフィンランドの方だったため、こうした日本の文化を包括的に伝える難しさがありました。
プロジェクトの初めには、時差がある中で、制作物や決断の締め切りが迫ることも多く、どのように伝えれば判断がしやすくなるか、どんな提出方法がスムーズに受け取っていただけるかを考慮しました。相手の立場に立って工夫することを心掛けました。
ーCARTA MARKETING FIRMを選んだ決め手を教えてください。
また、一般のお客様、特に予約なしで来店された方やテイクアウトのお客様も多く、常に行列ができ、整理券を配るほどの盛況ぶりでした。パイはほとんど完売し、予定時間より早く配布が終了しました。多くのお客様にマージマンションのパイを楽しんでいただけたと感じています。
今回のプロジェクトは、新規ユーザー獲得施策以外では初めての取り組みとなりましたが、ユーザー獲得からその後の継続まで一貫して担当しています。
また、対面でのコミュニケーションも大切にしています。フィンランドから日本へ来ていただいたり、私達もフィンランドの本社を訪問して提案の機会をいただいたりしています。来年もフィンランドを訪れる予定です。
渡辺さん:私たちの野望は、マージマンションが世界中に生涯のファンを持つ有名なエンターテインメントブランドとなることです。それに繋がることであれば、今後も様々な挑戦を続けていきたいです。
主人公の「ウルスラおばあちゃん」の設定の一つに「Grandma is always one step ahead(ウルスラおばあちゃんはいつも一歩先を行く)」というものがあります。これにならい、マージマンションは通常のゲーム業界や広告ではやらないような独自の戦略や、クリエイティブ含めた戦術をどんどん試していきたいです。今回、マージマンションとして世界で初めてブランドコラボレーションとリアルコミュニティイベントを実現しましたが、それに続く新しいことを考えています。
今はまだ、具体的な答えは出さないようにしています。過去に誰かがやったことの焼き直しになってしまう可能性があるからです。CARTA MARKETING FIRMの皆さんやプレイヤーからもアイデアを取り入れ、クリエイティブな刺激を受けながら次の企画をしていきたいです。
山下さん:来年、マージマンションは5周年を迎えますので、弊社としても再びMetacore様の大きな野望をサポートしていきたいです。Metacore様の細部までこだわられたプロダクトによって、プレイヤーの皆様はマージマンションに強い愛着を持ってくださっています。今回のイベントでも、ファン同士が交流できる機会を求める声がありました。5周年の際にはこうした要素を含めたイベントを共に企画していきたいです。
小知和さん:振り返ってみると、まだまだ多くのことができる可能性があったと感じています。例えば、リアルイベントとデジタルコンテンツの融合を図ることで、表参道のお店に向かう途中のルートでOOH広告を活用し、表参道駅に到着した瞬間からプレイヤーのモチベーションを上げる施策を考えたり、スマホのカメラ機能を使ってバーチャルなウルスラおばあちゃんを登場させたりするなど、新しいアイデアが次々と浮かびます。一緒にやりたいことは、どんどん増えていきますね。マージマンションが次に見せてくれる世界がとても楽しみです。