2024年、激動のSNSトレンドをコンサルタントが総まとめ -前編-|Xの変革・mixi2登場...全6プラットフォームを解説
2024年のSNSプラットフォーム
2024年のSNSプラットフォームは、Xのブランド変更後の仕様変更、Blueskyなどの振興メディアの急成長、mixi2の登場などの大きな出来事があり、激動の1年となりました。これらの動向を企業はどのように活かし、今後の運用に反映していけばよいのでしょうか。
今回、筆者がSNSコンサルタントに2024年のSNS業界の振り返り、今後の予想/運用ポイントなどを聞いていきます。「今年は忙しくて情報のキャッチアップができていなかった...」といったSNS運用者の方も、この記事で一気にインプットしましょう!
※この記事は前編/後編に分かれています。
- 前編(本記事):Xの変革・mixi2登場...全6プラットフォームを解説
- 後編(次記事):今後の予想/これからの運用ポイント
担当者紹介
白岩 すみか
株式会社CARTA COMMUNICATIONS(CCI)
Social AdTrim部 SNSコンサルタント
X/Instagram/LINEなどのSNS運用やWEB広告全般に携わった経験を基にした全方位のサポートが強み。 WEBタイアップ広告の制作経験を活かし、Instagramのマガジンコンテンツやクリエイティブ企画にも携わる。 ユーザーインサイトや話題になった投稿の分析も得意とする。
2024年、SNS業界で印象に残っている動きは?
特に印象に残ったのは、Twitterがイーロン・マスク氏に買収され、Xにブランド変更されたことに起因する仕様変更やユーザー移動です。ブランド変更自体は2023年にあったことですが、2024年はその影響が浸透し、様々な変化が実態として現れた1年だったと思います。
Xのブランド変更は、SNS運用者にどう影響したのか
ブランド変更後、アルゴリズムや仕様変更が頻繁に行われた結果、従来の成功パターンが通用しなくなり、Xを運用する企業は突然の対応を迫られました。
大きな仕様変更は、おすすめ欄のアルゴリズムの変更です。
以前からいいねやリポストの数だけでなくユーザーから「返信」がある投稿やプロフィール遷移が多い投稿などユーザーと直接的なコミュニケーションを取っている投稿が、より表示されやすくなるアルゴリズムになっていましたが、今年の仕様変更では、直前にユーザーが反応した投稿と似たカテゴリの投稿が即座におすすめ欄に表示されるなど、レコメンドの精度が向上しました。
フォロワー数が少ないアカウントでも、エンゲージメントが高い投稿はどんどんおすすめ欄にレコメンドされるようになり、フォロワーの多いアカウントの一人勝ちという構図が生まれにくくなっています。
さらに、リンク付きの投稿は以前よりリーチを得にくくなりました。リンク投稿できる点がXの強みの一部とされていたため、特に自社サイトへの誘導を目的とする企業にとっては戦略の見直しを迫られることになるでしょう。
これらの変更により、一部アカウントではインプレッションが激減するなどの混乱が生じましたが、X側では対話やコンテンツを重視し、Xとしてプラットフォーム内でのコミュニケーションを促進していく意図があると捉えています。
※関連リンク:X engineering|Latest posts
Xのブランド変更で、Xユーザーはどう動いたのか
ユーザー側では、トランプ大統領が再選を果たしたことにより一部ユーザーのX離れが起きました。マスク氏のXの投稿では、トランプ大統領を精力的に支持する様子が度々見られていましたが、メディアでも今後トランプ次期政権に大々的にかかわる見通しが報じられています。
このようなマスク氏の姿勢を受け、アメリカを中心に反対意見を持つ人のX離れが見られました。
詳しくは後ほどお話しますが、これによりXを離れた人がBlueskyに移動する動きもあります。
※関連リンク:BBC NEWS JAPAN|【米政権交代】 マスク氏を「政府効率化省」トップに起用、トランプ次期大統領が発表 ラマスワミ氏も抜擢(2024-11-13)
他、SNSプラットフォーム別の注目トピックス
Facebook/Instagram
Facebook/Instagram(Meta社)で世間を騒がせたニュースといえば、Instagramの詐欺広告の問題でしょうか。広告で有名人の画像が悪用され、偽の広告が出回り一般ユーザーや国会でも話題になるほどの影響がありました。
Meta社側で対策を強化していますが、すぐに100%防ぐのは難しい部分もあり、ユーザーから見ると「対策をしていないのでは」と感じてしまう人もいて、さらに話題が広まっていったと見ています。
この例に限らず、近年いずれのSNSも広告に対する見方はより厳しくなってきています。SNS運用者はそういったユーザーの声を捉えながら、注意して運用を行う必要があると思います。
※関連リンク:Meta|詐欺広告への取組みについて(2024-07-16)
また、Instagramでリールのアルゴリズム変更がありました。
▲画像出典・引用:Meta|クリエイター|Helping Creators Find New Audiences(2024-04)引用(2024-12-23)
これまでのアルゴリズムでは、フォロワー数の多いクリエイターや再投稿されたコンテンツを集約するクリエイターは、小規模なオリジナルコンテンツクリエイターよりもおすすめ表示されやすくなっていました。
この状況を是正するため、小規模クリエイターにさらなる配信機会を与えるアルゴリズム、おすすめ内の再投稿をオリジナルコンテンツに置き換えるなどのアップデートがありました。
このように、クリエイター支援のサービスやファンとつながる機能にも力を入れている点が、Meta社の動向特徴の一つと言えるかと思います。
※関連リンク:Social AdTrim|Instagram最新アルゴリズム構造に関して解説します!/ リールのランキングアルゴリズムのしくみ
TikTok
2024年のTikTokの注目トピックスは、ByteDance社が開発したショート動画アプリlemon8との連携です。
▲画像出典・引用:TikTok|TikTok、クリエイターの写真共有体験を強化。ライフスタイル共有アプリ「Lemon8」とのアカウント連携を11/20より順次開始(2024-11-13)
Lemon8は美容・料理レシピ等のライフスタイルに関する投稿が中心で、他のSNSと⽐べると女性が多い点や、投稿のキャプションが⻑めでより詳細な内容を文で伝えることができる点が特徴です。
これまでTikTokとLemon8はそれぞれ別のアカウントを作る必要がありましたが、今回の連携により同じアカウント情報でログインできるようになり、両プラットフォームを活用しやすくなりました。
ただ、それぞれのアプリは別のテイストで運営されてるので、連携によりユーザーが融合していくイメージというよりも、FacebookとInstagramのような別のシーンで使い分けるような関係になるかと思います。
そのため、企業の活用においてもアプリとの親和性にフォーカスした発信方法を考える必要があるでしょう。
Threads
Threads(スレッズ)は、Meta社のInstagramチームが開発したテキスト共有アプリです。
12月16日、マーク・ザッカーバーグCEOからMAU(月間アクティブユーザー数)が3億人、DAU(日間アクティブユーザー数)で1億人を超えたと発表され、2023年にリリースされてから急速に成長しています。
ThreadsはXと同じテキストSNSですが、頻度高く発信するというよりも、Instagram利用者がテキスト投稿したいときにサブ的に使う、または閲覧利用のみといった傾向があります。これは、Instagramアカウントと紐づいていて匿名性が低いことが影響していると思われます。
企業によるThreads活用例も見られますが、レポート機能がなく効果測定がしにくいので、企業が活用をする際には目的を明確にし、どの程度リソースを割くかは考えておくべきポイントです。
※参考リンク:IT media NEWS|ThreadsのDAUが1億人超え MAUは3億超え(2024-12-17)
※関連リンク:Social AdTrim|「Threads(スレッズ)」各企業の活用方法は?アップデート情報と共にお届け!(2023-07-20)
Bluesky
Blueskyは、2023年にTwitterの元CEOが立ち上げたテキストSNSで、2024年2月に招待制から誰でも登録できる形に変わりました。
直近では、全世界で2,000万アカウント近くに急増しています。急増の背景には、トランプ大統領および彼を支持するイーロン・マスク氏に反対するユーザーがXから移行したことがあります。
Xからの移行先にThreadsではなくBlueskyが選ばれる理由には、Twitterのルーツである元CEOのサービスである点や、X/Twitterのように匿名性が高い点が影響していると思います。
企業のBluesky活用例としては、エンタメ系企業でいくつか見られますが、「いいね」「リポスト」「コメント」の数値だけが取得可能なので、多くの企業はまだテスト的な運用ではないでしょうか。
※関連リンク:Social AdTrim|【ついに招待制廃止に!】注目SNS「Bluesky」を解説!(2024-02-08)
BeReal
BeReal(ビーリアル)は、2020年にフランスでリリースされたSNSアプリで、主にZ世代の若者の間で人気が上昇しています。企業アカウントの利用も見られていましたが、2024年7月からは広告事業を開始しました。
他SNSのような「盛る」文化とは対照的に、リアルな日常を共有することを目的としているSNSアプリで、広告クリエイティブに関してもオーガニック投稿の世界観にあったインフィード形式になっています(BeReal広告イメージ|公式)。
※画像出典・引用:BeReal概要資料(2024-12-01_2025-03-31)▶
mixi2
12月16日、完全招待制の「短文テキストSNS」、mixi2が新登場しました。
SNS黎明期に多くのユーザーが使っていた国産SNS「mixi」の2が出たということで大きな話題となっています。
弊社でも早速使ってみましたが、一見すると使用感はXやThreadsと変わらない印象です。しかし、デフォルトのタイムラインは、フォローした人の投稿が時系列に並び、他SNSのようなレコメンド機能はないため、自身のタイムラインに「炎上しているネガティブな内容」や「バズっているだけで興味がない内容」などはおすすめされません。
また、その他の特徴として”エモテキ”というslackのようなリアクション絵文字があり、投稿に対して気軽に感情表現できたり、リプ欄には「やさしいことばで返信しよう」と書かれていて誹謗中傷を避ける仕組みも見られます。
既にmixiでもお馴染みの”コミュニティ・イベント”もありコミュニティ内における交流も活発です。
XやThreadsはレコメンドされたコンテンツが並び、関心を広げるのに対して、mixi2では、繋がった人、つながりたい人とだけ関係性が深められる、平和なSNSの維持を目指しているようです。
後編で今後の予想/運用ポイントを解説!
前編では、SNS別のプラットフォームの動向を振り返りました。
この動向を企業はどのように活かし、今後の運用に反映していけばよいのでしょうか。後編で今後の予想/運用ポイントを解説していきます。
- 後編(次記事):今後の予想/これからの運用ポイント
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