AI・クッキーレス:House of Instagram Japan 2024で学ぶ最新マーケティング戦略‐1日目レポート①
「House of Instagram Japan 2024」に参加したので、イベントの様子をレポート記事にまとめました。少しでもMetaプラットフォーム活用のお役に立てれば幸いです。
House of Instagram(HOI)とは?
「House of Instagram Japan」は、Meta日本法人のFacebook Japanが主催する、広告主やマーケターを対象としたイベントです。年に一度開催されており、Instagramを活用したマーケティング戦略の事例や、最新の市場を踏まえたMeta推奨プロダクトなどが、ゲストスピーカーによる講演を交えて紹介されます。
本稿では、ダイレクト案件向けの内容が中心の1日目のセッションから「AI、クッキーレス時代のマーケティング」「広告効果がでるこれからのCAPI」の2つのセッションについて解説します。
「AI、クッキーレス時代のマーケティング」
「AI、クッキーレス時代のマーケティング」では、楽天市場 マーケティング部 ディスカバリーマーケティング課シニアマネージャー近谷康氏、Meta日本法人Facebook Japan クライアントパートナーマネージャ 豊井みのり氏が登壇し、AI、クッキーレス時代のマーケティングについて楽天市場の事例を用いて説明が行われました。
「AIに使われるのではなく、使う側になる」
本セッションではまず、AIの活用によってより良い成果を求められるこれからのマーケターには、「AIに使われるのではなく、使う側になる」ことが大切であると語られました。具体的には、AIに入れるデータについて、その正確性と量を重点ポイントとすべきことが強調されています。
たとえば、楽天市場でのマーケティング戦略では、CVの数だけではなく売上の内訳やその先のLTV(リピート購入等)に指標を置き、新規ユーザーと既存ユーザーの重みづけに注力しているのだといいます。「広告を出さなくても顧客になるユーザーに対しては、広告を出さない」といったこだわりについても話されました。
楽天市場とInstagramの取り組みについて
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
Instagramを活用した楽天市場の取り組みについては、「シグナル最大化/自動化加速」「クリエイティブ多様化」「効果測定(テスト&ラーン)」の3つの視点から説明がされました。
シグナル最大化/自動化加速
近谷氏によれば、シグナル*最大化/自動化加速の推進に向けて、CAPI(コンバージョンAPI)が重要な鍵になるといいます。CAPIはシグナルロス対策だけでなく、LTVを媒体と連携する際にも大事なデータです。また、リターゲティング配信に頼らず、ファーストパーティデータの活用やMetaの配信最適化を活用する際にも重要となってくると話します。
*シグナル=コンバージョンデータ等のイベントデータ。ファーストパーティデータを使うことで、cookie規制・イベントデータやブラウザの読込エラー・広告ブロッカーによる計測漏れなど取得仕切れなかったシグナルデータを補うことが可能となる。
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
クリエイティブ多様化
パートナーシップ広告*などでクリエイター(インフルエンサー)を活用することは、Instagramならではのクリエイティブ戦略といえます。
*パートナーシップ広告では、広告主がクリエイター、ブランド、他のビジネスと連携して広告を配信できます。広告ヘッダーには広告主のアカウントとパートナーのアカウントが表示されます。両方のアカウントからのシグナルが広告で活用されるので、ランキングやパフォーマンスが向上します。
引用:Metaビジネスヘルプセンター|パートナーシップ広告について(引用日.2024-7-19)
効果測定(テスト&ラーン)
楽天市場では、これまでパフォーマンス領域ではある程度効果測定の検証ができていた一方、ブランディング領域に関しては、まだチャレンジのフェーズであり、ブランドリフト調査でテスト&ラーンを繰り返しているのが現状だといいます。
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
※効果測定に関して
CCIでは管理画面から作成可能なブランドアンケートと、Meta社に依頼するブランドリフト調査のいずれもご提供可能です。お気軽にご相談ください。
→お問い合わせはこちら
優れたマーケティング戦略は、チーム連携と運用体制の構築がカギに…
楽天市場でのマーケティング戦略において、Instagramの活用は、ユーザーの“気づき”のポイントで有効に作用するケースが多いと近江氏は話します。
これは、カスタマージャーニーの過程におけるアトリビューションデータを分析した結果、導き出されたInstagramの広告効果です。こうした分析や、それを生かしたマーケティング戦略の立案を実現できたのは、マーケティングチームとデータ分析チームによる協業体制、さらに高速でPDCAを回す体制を構築できたところが大きいと近江氏は考察します。
特にCAPIなどの新しい要素に関しては、早い段階から仮説と検証を繰り返すことが重要であるようです。
広告効果がでるこれからのCAPI(コンバージョンAPI)
このセッションでは、Meta日本法人Facebook Japan 営業部長 黒木壮太氏が登壇し、クッキーレスが進む中、早い段階でMetaの適切なツールを活用してデータを効果的に活用することの重要性が説明されました。
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
加えて、コンバージョンAPIの実装についても具体的な説明を展開。「CAPIゲートウェイ」「パートナーソリューション」「直実装」の3つの側面から、詳細な実装方法について解説されました。
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
※クッキーやCAPIに関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
■-2024年7月更新- クッキーとは?なぜ廃止される?データプランナーに教わるクッキーレス[前編]
■クッキーレスがマーケティングに及ぼす影響と対策。データプランナーに教わるクッキーレス[後編]
■Data Dig|"コンバージョンAPI(CAPI)とは?クッキーレスで注目されるコンバージョンAPI(CAPI)をわかりやすく解説~応用編~"(2024-07-02)
ゲストスピーカーが登壇。シグナル欠損についての各社見解は?
パネルディスカッションのパートでは、株式会社オプトから岩本氏、株式会社イルグルムから赤澤氏、株式会社ピアラから木崎氏がゲストスピーカーとして登壇。CAPIに関して各社の見解を述べました。
まず、サードパーティークッキー規制の影響については、「すでにSafariなどで規制されているが、そこまで影響は出ていない感覚」という声も業界内にはあり、「Chromeに関してもそこまで影響がないのではないか」といった意見も出ています。
しかし岩本氏は、こういった意見が必ずしも実際の現状を正しく理解しているわけではないことを説明しました。同氏はリターゲティングを行う際のデータソースがChromeに偏重している事実を重く受け止めており、Chromeが規制されることにより広告配信の安定性が崩れることを危惧しています。
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
【補足】
Google Chromeのデータプライバシー対策の方針転換が、Privacy Sandbox VP, Anthony Chavez氏より発表(2024年7月22日)されました。2025年に予定されていたサードパーティクッキーの完全廃止を行わず、ユーザーに対してOpt-in/Opt-outの選択肢を提供する方針であるとされています。
引用:Data Dig|Google Chorme サードパーティクッキー廃止を撤回.2024-7-23.(引用日2024-7-24)
(2024-06-12 House of Instagram投影資料)
クッキーレスの世界で注力すべきオンラインマーケティング手法とは?
ピアラの木崎氏は、クッキーレス時代のマーケティング手法に言及。クリエイティブのテコ入れだけでは効果改善が難しくなってきていることを踏まえ、キーワードの発話量を促す施策×広告でダイレクト施策を行い、オフラインのデータも加えたマーケティング手法が重要になってくると述べています。
また、イルグルムの赤澤氏がファーストパーティデータ、機械学習、AIの活用が必須となることを主張すると、オプトの岩本氏は、それに加えてAIに正しくフィードバックする環境を整えることの重要性も強調。
今後のマーケティング戦略についての各社の見解から、さまざまな議論が展開されました。
まとめ
今回の記事ではHouse Of Instagram 1日目から2つのセッションをご紹介しましたが、どちらもCAPIなどを活用することによるファーストパーティデータを利用した広告配信の重要性が強調されていました。
CCIでは今回のセミナーでも重要とされているCAPI(コンバージョンAPI)の導入において、Data Digというサービスで導入支援を行っております。→詳しくはこちら
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