【動画広告】2024年最新|主要なメディアの動画規定を比較!汎用性の高い動画規格は?
はじめに
視覚とや聴覚の両方から多くの情報を伝え、商品・サービスの魅力をユーザーに印象づけることができる動画広告。5Gの普及や、見逃し動画配信、コネクテッドTVなどのサービス登場に伴い、動画広告の市場は急速に拡大しています。
一方で、プラットフォームによってフォーマットが異なり、静止画と比較して制作にコストや時間を要したり、制作会社/部門へのディレクションコストがかかるという側面も。
今回は動画広告の検討・制作をよりスムーズに進めるための知識として、代表的な媒体の動画の最新入稿規定を比較してみました。
1. ショート動画の人気と縦型動画の拡がり
CCI/電通/電通デジタル/セプテーニが共同で実施した「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、動画広告の市場規模は、前年比115.9%と広告種別の中で最も高い成長率となっており、2024年も高い成長率を維持すると予測されます。
※参考:"2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析”(参考 2024.03.12)
YouTube ショート動画やInstagram リール、TikTokなど、スマートフォンを縦向きにしたままフルスクリーンで再生できる短い動画の人気が高まる一方で、デジタルサイネージやコネクテッドテレビ(CTV)なども拡がりを見せ、視聴環境は多様化しています。
目的に合わせた適切なメディア・メニューの選定のほか、以下のようにそれぞれに適した動画フォーマットで配信することも重要と言えます。
-
横型
テレビ番組や映画などのコンテンツ、PCやコネクテッドテレビ(CTV)での視聴に適している
-
縦型
SNSなどをスマホを縦向きで持って視聴する際に適しており、画面がサイズアップし没入感を得られる
2. 主要なメディアの動画規定一覧
以下、代表的なメディアの最新の動画広告規定の特徴をそれぞれみてみましょう。
★印は、縦型の動画素材でも実施可能です。
- Google広告(YouTube含む)★
- Yahoo! ディスプレイ広告(YDA)
- LINE ★
- X(旧:Twitter)
- Facebook/Instagram ★
- AbemaTV
- TVer
【注意⚠️】
※2024年3月時点の情報です。
※規定は随時更新されます。詳細は各メディアの最新資料を必ずご確認ください。
※規定の一部を簡略化、抜粋して記載しております。
※メニューや配置は一部を抜粋したものです。
※メニューによっては動画以外の素材が必要です。
Google広告
- 動画キャンペーンではYouTubeやGoogle動画パートナーのサイトやアプリで広告が配信されます。
- Google広告を動画で実施する際はYouTubeへ動画をアップロードします。
- 動画のサイズに合わせてプレーヤーの自動調整が行われます。
- YouTubeへアップロードする際の推奨設定に加え、広告配信フォーマットごとの仕様があり、フォーマットの規格に合った動画を紐づけて配信を行います。
※参考:Google広告ヘルプ.“動画キャンペーン|広告仕様”.(参考 2024.03)
※参考:Google広告ヘルプ.“YouTube にアップロードする動画におすすめのエンコード設定”.(2024.03)
※予約型商品については別途媒体資料をご確認ください。
Yahoo! ディスプレイ広告(YDA)
- 予約型、運用型ともにアスペクト比16:9または1:1の動画が中心で、アスペクト比以外の入稿規定はほぼ統一されています。
- そのほか一部の予約型メニューでは比率1:2、4:1の動画が必要となります。
※参考:Yahoo!広告ヘルプ.“【広告】入稿規定(ディスプレイ広告)”.(参考 2024.03)
※参考:Yahoo!広告ヘルプ.“入稿規定:もくじ”.(参考 2024.03)
LINE
- 運用型の「LINE広告」は、規定の最小~最大サイズの範囲内で、アスペクト比16:9、1:1、9:16の動画が入稿可能です。
- 規定内の素材を入稿すると、そのフォーマットで配信可能な面が自動的に選択、配信されます。
- 予約型メニューについては決まったピクセルサイズで規定されているものが多くあります。
X(旧:Twitter)
動画広告のフォーマットに応じて推奨のサイズは異なりますが、どのフォーマットもアスペクト比は16:9、1:1のいずれかとなります。
※参考:Xビジネス|Twitter広告ヘルプセンター.“広告クリエイティブの仕様:動画広告”.(参考 2024.03)
Facebook/Instagram
- Facebook、Instagramも比較的柔軟に動画のアップロードが可能です。
- 配信面や目的により推奨値は異なりますが、動画の推奨アスペクト比は16:9、4:5、1:1、9:16 のいずれかとなっています。
※参考:Meta.“動画広告要件(参考 2024.03)
※参考:Meta.Facebook広告ガイド|Meta広告マネージャの目的のアップデート
AbemaTV
- 平均ラウドネス値に関して、テレビCMでの素材搬入基準は-24.0(単位:LKFS)となっていますが、AbemaTVでは独自の基準が設けられています。
- 動画の前後に短い無音を入れるノンモンの指定や、高めの映像・音声ビットレートも、他と比べると特徴的です。
※参考:CM素材制作における注意点:[ABEMA Ads 入稿動画技術ガイド]
TVer
- 民放各局のキャッチアップ(見逃し)配信のほか、リアルタイム配信も開始しました。
- テレビ番組の冒頭や中間、終了後に配信するため、アスペクト比16:9の動画素材を入稿します。
- テレビアプリ(コネクテッドTV)配信用のプレミアムレートとスマートフォンやPC用のハイレート素材の規格があり、映像や音声について細かく指定されています。
※参考:TVer広告.“Ad Submission Rules 広告入稿規定”.(参考 2024.03)
3. 複数のメディアで使えそうな動画規格は?
上記の一覧をもとに、複数のメディアで配信できそうな動画の規定をまとめてみました。
本記事掲載のメディア・メニューすべてを網羅しているわけではありませんが、まずどのメディアの規定に合わせて動画を作ればよいのか迷った際にご参考ください。
また、広告出稿の目的に合わせてターゲットや配信メニューの選定が重要となり、それぞれのメディア・メニューで推奨の設定があるため、 配信先が決まっている場合はそれに応じた規格を優先することをお薦めします。
動画規格 とりあえずコレ
フォーマット | MP4 | - |
アスペクト比 | (横型) 16:9 (正方形)1:1 (縦型) 9:16 |
- |
ピクセルサイズ (横×縦) |
(横型)1920×1080 (正方形)1080×1080 (縦型)1080×1920 |
- |
ファイルサイズ | 9MB以内 | - |
動画の長さ | 15秒 | - |
ブランド(ftype) | mp42 または M4V | 映像ファイルのフォーマットや特性を示す。どのような仕様でエンコードされているかの識別に使用。 |
moov atom | 先頭 | 動画の再生に必要な情報(moov atom)の配置場所 |
フレームレート方式 | 固定 | 動画の各フレームがどの速度で再生されるか決定する方法(可変or固定) |
ビットレート方式 | 可変 | 音声や映像のデータ伝送速度を決定する方法(可変or固定) |
映像ビットレート | 2,500kbps~3,500kbps | 映像データが一定の時間内にどれだけの情報量を伝送するかを表す数値 |
音声ビットレート | 192kbps | 音声データが一定の時間内にどれだけの情報量を伝送するかを表す数値 |
映像コーデック | H.264 | 動画ファイルを圧縮、解凍するための技術または規格 |
プロファイル | High Profile(Level4) | そのコーデックが扱える映像の品質や機能の範囲を示すルール集 |
走査方式 | プログレッシブスキャン | テレビやモニターが映像を表示する際にどのように表示するかを示す方式(インターレースorプログレッシブ) |
フレームレート | 29.97fps | 一秒間に表示される動画のフレームの数 |
参照フレーム | 4以下 | フレーム間予測において圧縮されるフレームの数 |
音声コーデック | AAC LC | 音声ファイルを圧縮、または解凍するための技術または規格 |
音声サンプリングレート | 48 khz | 音声データが一定の時間内に何回取得(サンプリング)されるかを示す数値 |
平均ラウドネス | -24.0LKFS ±1dB | ※下記で解説 |
音声ピークレベル | -3dBFS以下(民放連技術規準T-032準拠) | ※下記で解説 |
音声チャンネル | ステレオ | 音の出力方式 |
※ 本記事掲載の全メディア・メニューを網羅しているわけではありません。
以上、動画広告の検討・制作をよりスムーズに進めるための知識として、参考になれば幸いです。
CCIでは広告入稿の専門チームがいて、本記事のような入稿やクリエイティブの知識を深く・幅広く有しています。
以下は、本記事に出てきた専門用語を入稿チームに聞いてみる質問コーナーです。
【質問コーナー】ラウドネス値と音声ピークレベルって何?
Q.動画広告や音声広告で規定されている「平均ラウドネス」と「音声ピークレベル」。よく聞くけど、そもそもどういったものなのでしょうか。
A.ラウドネス値と音声ピークレベルは、どちらも音の大きさを測定するための方法です。
平均ラウドネス値
これは音の全体的な強さを測定したものです。たとえば、あなたが映画を見ているとき、アクションシーンと対話シーンで音の大きさが違いますよね。映画全体の平均的な音の大きさを表すのが平均ラウドネス値というわけです。
「民放連技術規準T032」では -24±1 LKFS が基準となっています。※LFKS: Loudness K-weighted Full Scale
音声ピークレベル
こちらは音の最大の大きさを表します。例えば、ある音楽の中でドラムが打たれた瞬間など、音が一番大きくなる瞬間のことを指します。
「民放連技術規準T032」では以下となっています。
- トゥルーピーク値で規定 :-1dBTPを上限 ※dBTP: Decibel True Peak
- サンプルピークメータの場合:-3dBFSを上限 ※dBFP: Decibel Full Scale
※出典:日本民間放送連盟“民放連技術規準T032-2020「テレビ放送における音声レベル運用規準 」
※参考:JAAA|テレビCM素材搬入基準「音声レベル運用規準」の適用について”.(参考 2024.03)
ピークレベルには図のように「トゥルーピーク」と「サンプルピーク」の値があり、音の高さや大きさを測定するための方法の違いを指します。
たとえば、自転車で走りながら道路の状態をチェックすることを想像してみてください。
サンプルピークは特定のポイントで道路の状態をチェックするイメージです。たとえば50メートルごとに、道路に何があるか、穴があるか、石があるか等を確認します。ですが、チェックポイントの間にある情報は見落としてしまう恐れがあります。
一方、トゥルーピークは走りながら道路の状態を常にチェックするようなイメージです。50メートルごとのポイントだけでなく、その間にあるすべてをチェックしているわけです。この方法では、見落としなく、道路全体の状態をより正確に捉えることができます。
このように、サンプルピークは特定のポイントに注目する方法で、トゥルーピークは全体像を捉えるためのより正確な方法と言えます。
- 視聴者が不快に感じず、情報をしっかりと聞きとれる音量にする
- 音が突然大きくなって視聴者を驚かせたりしない
そのためにはラウドネスやピークレベルの規定を守ることが大事なんですね。
おわりに
CCIではこれまでメディアと繋がる立場として、数多くのクリエイティブ入稿を行ってきました。
各メディアの特性や傾向を踏まえた入念なチェックを行い、広告主/代理店/メディアが安心して掲載できるよう入稿をサポートしております。
もし入稿や規定に関してご相談がありましたら、CCIまでお問い合わせください。
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