これからの人材採用:採用活動成功のカギとなるコミュニケーションチャネルは?
近年の人材業界では、人材獲得競争の激化や少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、求職者の確保が一層難しくなってきています。このような状況下において、人材業界のマーケターや企業の採用担当者のなかには、求職者の囲い込みに課題を感じている人も少なくないかもしれません。
また、求職者獲得に向けたデジタルマーケティングにおいても、プライバシー保護の観点から従来の手法が制限される傾向にあり、新たなアプローチ法の模索が急務となっています。
これらの問題を解決するために有効的な手段の一つとして、LINE公式アカウントの活用があります。
この記事では、人材業界が直面する課題をあらためて確認しながら、LINE公式アカウントの活用がなぜ人材業界の採用活動に有効であるのかについて解説します。
監修
浦野莉奈
株式会社CARTA COMMUNICATIONS(CCI)
LINEコンサルタント
2019年 CCIに入社。LINE公式アカウントのAPIツール「KNOTBOX」を活用したプランナーとして人材業界を初めとした、様々な企業へLINE公式アカウントを活用した提案・コンサルティングを担当。
人材業界の課題
人材業界のWEBマーケティング採用活動における今後の注力ポイントを考えるにあたって、まずは現状の業界課題を確認していきましょう。
①人材市場の市況感と少子高齢化が引き起こす需要の変化
厚生労働省の調査(下図)によると、有効求人倍率は平成23年度以降高まりを見せたあと、コロナショックで一時的に低下しましたが、景気の回復に伴い再び増加し、現在は横ばい傾向が続いています。
いわゆる売り手市場にあり、求職者にとっては選択肢が増える理想的な状況だといえますが、他方、求人企業側にとっては、人材獲得競争が避けられない厳しい環境にあるといえるでしょう。
業界にもよりますが、企業の人材獲得が困難な状況は引き続き続くと予想されるため、優秀な人材の獲得にはライバル企業よりもスピーディにアプローチして、早期に囲い込むための施策が重要になってくると考えられます。
(図)引用元:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年9月分)について
(図)引用:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年9月分)について.2024-10-29.(参照2024-12-05)
また、少子高齢化の影響で、日本社会を支えている15〜64歳の生産年齢人口は減少傾向。一方で、65歳以上のシニア層は増加し続けており、現在の人材不足を解決するために、今後はシニア層も重要な労働力としてとらえていく必要があります。
▼高齢化の推移と将来推計
(図)引用:内閣府『令和6年版 高齢社会白書』.【第1節】高齢化の状況及び【第2節】高齢期の暮らしの動向.高齢化の推移と将来推計.図1-1(引用.2025-1-08)
事実、65歳以上の就業率は上昇傾向にあり、シニア層の求人需要が高まっていることが伺えます。
この点をふまえると、今後の人材業界においてはシニア層への働きかけも重要であることがわかります。ただ、若い世代に比べ、デジタルとの接点が少ないシニア世代…。彼らに向けた有効なアプローチ法の模索は、デジタルマーケティング関係者にとって課題となるはずです。
▼年齢階級別就業者数及び就業率の推移
(図)引用:内閣府『令和6年版 高齢社会白書』.【第1節】高齢化の状況及び【第2節】高齢期の暮らしの動向.高齢化の推移と将来推計.図1-3(引用.2025-1-08)
②多様な働き方に応える柔軟な雇用形態へのニーズの高まり
現在の人材業界を考えるには、アフターコロナによるリモートワークの普及や働き方改革の推進などにより、柔軟な働き方や雇用形態の多様化が注目されるようになった点も無視できません。
”自社における多様な働き方への重視度”のアンケート調査によると、コロナ禍以降の「多様な働き方」の重視度が「上がった」「やや上がった」の回答が6割に増えています。
▼「多様な働き方」の重視度
▼コロナ禍以降の「多様な働き方」の重視度
また、コロナ禍以降の業況が良化している企業では、働き方のスタイルの自由度を高める制度導入を進めている傾向にあり、働き方や雇用形態の変化は今後、中長期的にも加速していくことが予測されます。
▼コロナ業況別 「時間、場所に関わる働き方の多様化」の導入制度・取組み
(図)引用・出典:ProFuture株式会社/HR総研|日経リサーチとHR総研の共同調査『「企業の発展と社員の幸せを実現する、ニューノーマルな働き方」に関するアンケート』(参照.2024-10-02)
つまり、求職者側に柔軟な働き方へのニーズが広がるなか、企業側は雇用形態の多様化を進め、求職者のさまざまな期待に応え得る間口の広い職場環境を準備することが重要だというわけです。
もちろん、個別の求職者に適した職場環境をアピールするためには、より1to1なコミュニケーションを用いて、個々に合う雇用の存在を伝えていくことも欠かせないでしょう。
③デジタルマーケティング領域のプライバシー強化
デジタルマーケティングにおいては、近年Cookie規制等のプライバシー強化が進み、データを取得・活用するようなアプローチがしづらい環境になっています。ここまで述べてきたように、パーソナライズ化された求人情報を1to1で届けていくことが重要になる人材業界のデジタルマーケティング施策においては、このあたりは特に重めの課題となるかもしれません。
※Cookie規制についてはこちらの記事をご覧ください。
クッキーとは?なぜ制限される?データプランナーに教わるクッキーレス[前編]
クッキーレスがマーケティングに及ぼす影響と対策。データプランナーに教わるクッキーレス[後編]ファーストパーティーデータの活用方法は、コンバージョン欠損対策だけではない…
LINEが人材採用のカギを握るコミュニケーションチャネルである理由とは?
人材業界の課題についてはLINE公式アカウントの活用が有効であることを冒頭に申し上げましたが、本ブログでは、ここまでに取り上げた課題をあらためてまとめながら、LINEの有用性と合わせて解説していきます。
早期囲い込みに向けた可能な限りスピーディな接触
人材の早期囲い込みに向けては、ライバル企業に先んじて自社の求人情報を届けたり、自ら情報収集を始めていない潜在層にもアプローチする必要があります。
そのためには、求職者が自ら情報にたどり着く前に、企業側からプッシュ型で情報を伝えていくことが重要です。
LINEは、ユーザーにとって利用頻度の高いアプリであることに加え、本人に通知される形で企業メッセージを届けることができるため、情報の一次接触のハードルが非常に低いメディアだといえます。
シニア層へのアプローチに適したプラットフォーム
シニア層のネット活用は一般的にはなりましたが、それでもデジタルネイティブ世代に比べると、自ら情報収集していくような積極的な活用には、まだ不慣れな人も多いはず。そうした世代への情報発信は、受動的に受け取ることのできる仕組みの採用が重要で、シニア層の利用には、メルマガやSNSでのアプローチを検討する必要があります。
中でもLINEは、60歳代後半は71.0%、70歳代前半は51.3%が活用(※)。また、NTTドコモの調査によると2023年にシニアのLINE利用率がメールを上回り、シニア層におけるLINE活用は一層活発となっています(下図)。本人に通知される形で企業メッセージを届けることができる点もシニアへのアプローチに適したポイントだといえるでしょう。
▼シニアのメール・SNS利用率(関東)
(図)引用: NTTドコモ モバイル社会研究所ホームページ|シニアのメール・SNS利用 LINEがメールを初めて上回る.2023-8-28(参照.2025-1-8)
多様な雇用環境から個別に合ったスタイルを伝える1to1のアプローチ
求職者別にそれぞれ最適な雇用形態を紹介していくためには、パーソナライズされたコミュニケーションが重要になります。LINEは求職者のニーズに合うパーソナライズされた情報を発信し、ダイレクトなコミュニケーションを実現できるツールです。
プライバシー強化のトレンドにも対応可能なユーザーデータの取得方法
上記のように、パーソナライズされた情報をダイレクトに発信できるのはLINEのストロングポイント。これは個人情報を保護した状態でユーザーIDの取得を行うことで、データを基にしたアプローチができることによるものです。
まとめ
ここまで、特徴について以下を解説してきました。
- 優秀な人材獲得は競争率が高まっているため、LINEでより簡単な接点を用いた早期の囲いこみ、1to1のアプローチが可能
- メルマガやSNSのように本人が受動的に情報を受け取れる手法が有効で、シニア層も活発にLINEを利用。
- LINEはパーソナライズされたコミュニケーションを用いて、個々に合う雇用を結びつけることが可能。
LINE公式アカウントを活用すれば、ユーザーと1to1での接点を持つことができ、アンケートやID連携機能を用いて個々のニーズに合う情報を発信、ナーチャリングすることで求人応募に繋げることが可能です。
採用活動のコミュニケーションチャネルにお悩みの方は、LINEの活用をご検討してみてはいかがでしょうか。
こちらのコラムでは、具体的な活用事例をお伝えしていきますので是非ご覧ください。
関連するおすすめコンテンツ